なす物語
(なす)
今日もいいお天気ねえ。
畑のみんなは、どうしてるかしら?
あたしのふるさとは高知県なのよ。
今日のお日さまと青い空を見たら、
なんか、ちょっと恋しくなっちゃったわ。
ぷくちゃんは、なすが大好きなんだって。
味というより、このかたちと色がいいっていうの。
花の咲いたあと、ヘタからぷっくり、実ができるでしょ?
それが、かわいくて、かわいくてたまらないって。
そして、この色。「なす紺」。
どこまでも深いむらさき色でしょ?
ぷくちゃんは「気品に満ちた色」だって言ってくれるの。
(ぷく歌う)
ぷっくり小さい~赤ちゃんみたいな実~♪♪
しょぼしょぼの~かわいいヘタ~♪♪
今日のレシピはね。
高山なおみさんの「自炊。何にしようか」からだって。
ただザクザクと縦割りに切って、
あぶらでいためるでしょ。
くたっとなったら、おしょうゆ少しと、
お酒をふり入れるでしょ。
あとは水を少し入れて、いっしゅん蒸すのよ。
ふたをずらすと、ふんわり仕上がるわよ。
どう? いい色でしょ。
あたし、あぶらでちょっと艶っぽくなったでしょ。
うふふ。
かんたんレシピだけど、ホカホカに熱いし、
なすの味もしっかり残って、いい感じよ。
おしょうゆを入れすぎないのがコツね。
トマトやかいわれをのせて、サラダ風にするのもいいわね。
ああ~ん、ぷくちゃんに食べられちゃうう~。
ぷくちゃん、もりもり、お昼ごはん。
よれよれになった、おなす。
こげたり、さけたり、たねが見えてたり。
それがまた、可愛いんだって。
ぷくちゃんが大よろこびしてくれて、
あたしもうれしいわ。
おなすを見たら、あたしの「ひとりごと」を思い出してね。